東京地判 国籍確認請求事件

国籍確認請求事件, 自己の志望によって外国籍を取得, 日本国籍の喪失, 東京地方裁判所 裁判所
東京地判平成28年06月24日

判旨: ア. 国籍法11条 1項が設けられた趣旨は、(1)国籍離脱の自由を保障する憲法22条 2項の規定を受けて、国籍離脱の自由の一場合として、自己の志望によって外国籍を取得する自由を認める必要があること、(2)自己の志望により外国籍を取得したときには、二重国籍の発生を防止するためにも、当然に従来の国籍を放棄する意思があるとみるべきであり、外国籍を取得することによって当然に日本国籍を喪失させることが相当であることにあると解される。
 そうすると、同規定により国籍を喪失するという効果を生じるには、日本国籍離脱の意思又は日本国籍喪失の認識は要件とされていないと解され、このような解釈は、従前の国籍喪失を帰化の条件とする国への帰化の途を塞がないようにして外国籍取得の途を確保するという点で、上記(1)の憲法の規定の趣旨にも沿うものということができる。

イ. 国籍法11条 1項の「外国の国籍を取得した」とは、外国籍を有効に取得することを要件とするものであり、その外国籍取得の有効性は、当該外国の法律によって判断されるべきものと解される。

ウ. 国籍法11条 1項の「自己の志望によつて」とは、帰化、国籍の選択・回復、国籍取得の届出その他名称のいかんにかかわらず、新たに外国の国籍を取得することを直接に希望する意思行為により、その効果として、外国の国籍を取得した場合(以下「志望取得」という。)を意味し、婚姻や養子縁組等の身分行為や、親権者の帰化の効果が当然に子に及ぶ場合など一定の事実に伴って法律上当然の効果として外国籍を取得した場合(いわゆる「当然取得」)を除外する趣旨であると解される。
 また、外国籍の取得の態様が志望取得に当たり、当該外国が国籍を付与する場合であっても、抵抗することのできない程度の強迫を受けて外国籍取得の申請をした場合などのように、真にやむを得ない事情があるため、実質上その国籍取得が本人の意思に基づくものと認めることができない場合には、「自己の志望によつて」した外国籍の取得には当たらず、日本国籍を喪失するという効果は生じないと解することが相当である。

国籍法 抜粋
第十一条 日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。

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