名古屋地判 在留特別許可義務付け請求事件

在留特別許可義務付け請求, 退令 裁判所
名古屋地判平成26年01月30日(PDF)

裁判要旨:
1. 入管法24条 1号所定の退去事由に該当するとの認定に服して口頭審理の請求をせず、退去強制令書発付処分を受けた外国人がした、法務大臣または法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長に対して、在留特別許可の義務付けを求める訴えにつき、法務大臣または法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長は、退去強制事由に該当する旨の認定を受けた容疑者が口頭審理請求権を放棄した場合には、在留特別許可を付与する権限を有していないから、容疑者が口頭審理請求権を放棄した後に、法務大臣または法務大臣から権限の委任を受けた地方入国管理局長に対して在留特別許可の義務付けを求めることは、行政庁に対して法令上の権限のない処分を求めることにほかならず、その義務付けの訴えは不適法である。
2. 入管法24条 1号所定の退去事由に該当するとの認定に服して口頭審理の請求をせず、退去強制令書発付処分を受けた外国人がした、同処分後に永住者の在留資格で本邦に在留する外国人女性と婚姻し同居生活を継続していることを理由に、地方入国管理局主任審査官に対して、同処分の撤回の義務付けを求める請求につき、口頭審理請求権を放棄した容疑者については、同法上、裁決の手続に進んで在留特別許可の許否を判断すること自体が予定されていないのであるから、仮に当該容疑者につき在留特別許可を付与するのを相当とする事情があるとしても、これによって当該容疑者に対する退去強制令書発付処分が違法となることはないし、当該容疑者に対する退去強制令書発付処分を撤回しないことが違法となることもない。
3. 入管法24条 1号所定の退去事由に該当するとの認定に服して口頭審理の請求をせず、退去強制令書発付処分を受けた外国人がした、地方入国管理局特別審査官に対して、口頭審理請求受理の義務付けを求める訴えにつき、同法によれば、容疑者が入国審査官による認定の通知から 3日以内に同法48条 1項所定の口頭審理請求をした場合には口頭審理が行われるものとされ、これとは別に、口頭審理請求の受理という形で行政庁の公権的判断を示す手続が定められているわけではなく、同法その他の関係法令を精査しても、口頭審理請求の受理そのものの根拠規定やその法律効果を定めた規定は見当たらないことからすると、口頭審理請求の受理は、直接権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているものに該当せず、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に当たらない。
4. 入管法24条 1号所定の退去事由に該当するとの認定に服して口頭審理の請求をせず、退去強制令書発付処分を受けた外国人がした、地方入国管理局長に対して、いわゆる「再審情願」手続を開始することの義務付けを求める訴えにつき、同法には「再審情願」を認める規定はなく、また、退去強制令書の発付を受けた容疑者は直ちに送還されることが予定されているのであるから、同法は、退去強制令書の発付を受けた容疑者に対して在留特別許可を付与する「再審情願」の手続を予定していないというべきところ、「再審情願」は、在留特別許可に関する職権発動を促す上申にすぎず、情願者には当該情願について審理や応答等を求める権利があるものではなく、情願をしたことにより特別な公法上の法律関係が生じるものでもないから、「再審情願」の手続を開始することは、直接権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているものに該当せず、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為に当たらない。


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