外国人は生活保護法に基づく保護の対象外 最高裁

生活保護, 最高裁判所

 「永住者」の在留資格を有する外国人が生活保護法の対象となるかどうかが争われた訴訟。最高裁は、「外国人は、行政庁の通達等に基づく行政措置により事実上の保護の対象となり得るにとどまり、生活保護法に基づく保護の対象となるものではなく、同法に基づく受給権を有しない」と判示した。たいへんスッキリした分かりやすい判断であると思う。

 なお、一部報道等には誤解があるように見受けられる。最高裁は、外国人は「生活保護法に基づく保護の対象とならない」と判断したのであって、「生活保護の対象とならない」などとはしていない。立法措置により、外国人に生活保護費の受給権を付与することは可能であるということである。

 判示事項を整理すると、次のようになろう。
1. (1) 生活保護法の適用の対象につき定めた同法 1条および 2条にいう「国民」とは日本国民を意味するものであって、外国人はこれに含まれないものと解される。
(2) 現行同法が制定された後、現在に至るまでの間、同法の適用を受ける者の範囲を一定の範囲の外国人に拡大するような法改正は行われておらず、同法上の保護に関する規定を一定の範囲の外国人に準用する旨の法令も存在しない。
(3) したがって、同法をはじめとする現行法令上、同法が一定の範囲の外国人に適用されまたは準用されると解すべき根拠は見当たらない。
2. (1) 昭和29年社発第382号厚生省社会局長通知(以下、「本件通知」という)は行政庁の通達であり、それに基づく行政措置として一定範囲の外国人に対して生活保護が事実上実施されてきたとしても、そのことによって、同法 1条および 2条の規定の改正等の立法措置を経ることなく、同法が一定の範囲の外国人に適用されまたは準用されるものとなると解する余地はなく、我が国が難民条約等に加入した際の経緯を勘案しても、本件通知を根拠として外国人が同法に基づく保護の対象となり得るものとは解されない。
(2) なお、本件通知は、その文言上も、生活に困窮する外国人に対し、同法が適用されずその法律上の保護の対象とならないことを前提に、それとは別に事実上の保護を行う行政措置として、当分の間、日本国民に対する同法に基づく保護の決定実施と同様の手続により必要と認める保護を行うことを定めたものであることは明らかである。
3. よって、外国人は、行政庁の通達等に基づく行政措置により事実上の保護の対象となり得るにとどまり、生活保護法に基づく保護の対象となるものではなく、同法に基づく受給権を有しないものというべきである。


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